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真山とそのスタッフ達が、小説を制作する過程で行った調査や分析のリポートを紹介。

連続ドラマW「マグマ」特集vol.3 舞台挨拶付完成披露試写会レポート

2012/06/22

by Kyoko Yanagida

6月10日からスタートした、WOWOWドラマ「マグマ」。その放映開始前日となる9日に、都内で第一話の完成披露試写会および舞台挨拶が行われた。


(撮影:中川容邦)

外はあいにくの雨にもかかわらず、一般申込の当選者の方々が続々と入場。200名分近い席がすぐ満席に。静かな期待が高まる会場の大画面で、初めて第一話が上映された。

その後、同じ場所で行われた舞台挨拶には、たくさんの報道陣が詰めかけた。

主人公・野上妙子役の尾野真千子さんは、劇中の黒いスーツ姿と一転、真っ赤なドレスで登場。赤=マグマのイメージだったのかもしれない。谷原章介さん、真山が尾野さんを挟む形で立ち、インタビューが始まった。

終始笑顔で、やわらかな関西弁で答える尾野さん。「きっつい顔してばっかりですけど、全5話を通して何回かだけ、笑うんですよ。何回笑ったか、数えてくださいね」と話したことは翌日の報道でもたくさん紹介されていた。

谷原さんは、役をどのようにつかもうとしたか熱く語る一方で、「『高温岩体発電』という言葉が難しくって、先輩の役者さんは手に書いていました」と、普段使わない専門用語がたくさん飛び交う現場で大変だったが、だからこそ皆が一体になれたと、撮影中のエピソードを披露。すでに第一話を見たあとだからこそ、どのお話も興味深かった。

また、読書家の谷原さんは、撮影中の1ヶ月半で10冊ほど本を読んだそうだ。「カット!」と聞こえた瞬間に本を開いている姿を、我々も撮影見学の際に見かけている。ドラマには出てこないが、原作で妙子が読んでいるP.D.ジェイムズ著『女には向かない職業』も「妙子がどういう子なのか、想像するために読んだ」とのこと。「野性時代」で真山が対談したときにも、原作の小説「マグマ」について熱心に語ってくださった。

原作者である真山は、「マグマ」ドラマ化について
「小説家は自分の作品だと思って書いていますが、本になって書店に並んだ瞬間、自分のものではなくて読者のものになっていく。そして本になった作品は、それぞれいろんな運を背負っています。『マグマ』はこれまで、わりと地味な子で、読んでくださった方からの反響は大きかったのですが、なかなか多くの方には伝わってこなかった。それがこの1年で、ずいぶん変わりました。昨日、野田首相が再稼働について意見を表明しました。これからどのように電気を使っていくべきなのか、考えなくてはいけないこのときに、ドラマが始まる。いまでは、『マグマ』はものすごく強運を持っているように感じています。さらに、いま横にいるお二人をはじめ、ベストキャストでドラマになる。感無量です。面白いドラマとして楽しんでいただき、そのうえで皆さんが少しでも電気のことについて考えてくれればありがたいですね」と語った。

ドラマは3.11後の設定となっているが、原作をすでに読んだ方も、未読の方も楽しめる内容になっているのではないだろうか。個人的には、試写会で初めてスクリーンで見たときに、妙子の会社など都会のビルが舞台となるシーンと、鮮やかな緑がまぶしい地熱発電所のシーンが放つ、それぞれの空気感の違いが印象的だった。

背負うものが異なる、多くの人物が登場するこの作品では、見る人によって思い入れの強い人物が違ってくるはずだ。共感したり反発したり、様々な思いが込みあげるだろう。真山の言うように、見終えたあと、何かを考え出すきっかけになる、そんな力を秘めた作品だ。全5話、最後まで見逃せない。

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